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東京のかえるが大阪見物に出かけました。
箱根の山まで来ると向こうから、やってくるかえると出会いました。
そのかえるは、大阪から東京見物に来たのだといいます。
二匹のかえるは、話しているうちに、
「この箱根の山はとても高い山だから、ここから背伸びをして見たら、東京が見えるかもしれないなぁ」と大阪のかえるが言いました。
「そうだ、そうだ」と東京のかえるも言いました。
二匹のかえるは、そこで後ろ足で立ち上がって背伸びをして、遠くを見渡しました。
しかし、かえるの眼は頭の頂についているので、立ち上がると、向かっている方向の反対側が見えるわけなので、お互いに自分の出て来たところが見えました。
「何だ、大阪は東京と同じじゃないか」
「東京だって大阪とそっくりだ」
「お互いに見物に行くことはいらないな、帰ろうよ」
ということで、二匹のかえるは、もと来た方へ帰って行ったそうです。
この話は、各地にあるようで、よく知られているのは、京都のかえると大阪のかえるの話です。
かえるに準えた、愚か者の話です、
立ち上がれば、後ろに視線が行くということに気付かないのに、自分たちの賢い考えと思い込んで振舞ってしまっていることへのおかしさを表しています。