ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おばあさんが、話してくれました。
二月の十五日は、お釈迦様の亡くなられた日でねって
お寺では、釈迦涅槃図って、この辺では、オヒョウゴというのを掛けたんです。
そのオヒョゴウには、お釈迦様の亡くなられたときのことが、絵になっていたそうです。
お釈迦様の臨終には、大勢の、ずいぶんと、たんとの鳥だの獣だのが集まってね、仲間になっていないのは、燕と猫だけでしたとよ。
燕という鳥は、お釈迦様が臨終だと聞いても、白粉つけたり紅つけたり、しゃれていたんでね、お釈迦様の死に目に会えなかったそうです。
それで、十二支のなかに入れなかったそうです。
燕は、のどのあたりがきれいだったり、くちばしがちょっと紅くなったりしてるでしょ、あれは、その時のお化粧のあとだそうです。
猫も、お釈迦様の臨終だと言っても、知らんぷりして、顔洗っておしゃれしていて
「お釈迦死んでも、こちゃかまわねえ」っていってて、脇を向いていたって。
猫だけは、お釈迦様が死んでも涙をこぼさなかったってね。
そんなふうだから、十二支の仲間に入れなかったのだそうです。
**
十二支に由来する昔話は、日本中にあります。
その多くが、何故、猫が十二支に入っていないかの話です。
ネズミに騙されたとか、性格が意地悪だからとか、なかには、お釈迦様の薬を取りに行ったネズミを猫が食べてしまったから、とかさんざんです。
なにか、猫が可哀そうにもなります。
キツネが入らないわけの話もいろいろあるようですが、怠け者だからとの話が多いようです。