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昔、山の頂上で兎と猿と蛙が集まって、餅をついて食べようという相談がまとまりました。
そこでお米をといだり、火を焚いたりとめいめいが力を合わせて餅つきの仕事に精を出しましたので、臼の中にはまっ白なお餅がつきあがって暖かそうにほかほかと湯気を立てています。
兎と猿と蛙は、ここでただ食べてしまうのでは面白くないので、何とかもう少したのしく遊ぼうではないかと考えました。
臼に餅が入ったまま山の上から転がして、誰がちばん早く食べるか競争しようということになりました。
気の早い兎は話がすむかすまないうちに、ぴょんぴょんと山を下って行って、下で手をついて臼の転がってくるのを待っていました。
そこへ上から臼がころがり落ちて来たのですからたまりません。
臼の下敷きになって兎の手は折れてしまいました。それでこの時から兎の前足は短かくなったということです。
猿は、山を下りるのにお尻の下に木の枝をしいてするするとすべり下りて来たので、お尻はすれてまっ赤になりました。今でも「猿のけつはまっかっか」とはやされています。
蛙は、兎や猿のように早く走れないのでのっそのっそと山を下りて来ました。
すると途中の木の根っこの所に、転がりおちた臼からこぼれた餅がごってりとひかかっているではありませんか。
「これは、これは、ありがたい」と、蛙は餅をさんざん食べました。それで今のようにおなかが大きくなちゃったということです。
(神奈川県)